人生の最終段階における医療
すべてのひとは、いつかは人生の最期を迎えることになります。
そのとき、できるだけ苦しみが少なく、ご本人もご家族も
悔いのないプロセスを
自ら準備することが大切です。
- 緩和ケア
-
クリニック、自宅、あるいは緩和ケア施設を利用して苦痛を少しでも和らげることに努めます。このような状態では、患者様自身の意思を明らかにしておくことが大切です。
- アドバンスケアプランニング
-
アドバンスケアプランニングACP(Advance Care Planning)とは、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や医療関係者が、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援するプロセスのことです。
- 事前意思確認(繰り返し修正可能)
-
医学の進歩は、感染症などの急性疾患による死亡を減らしましたが、悪性腫瘍などによる重篤な疾患による死亡を確実に減らすことはできません。人は誰にでも訪れる最期を歳とともに自然に覚悟することもありますが、病気などで急に最期を迎えざるを得ないときには、こころの準備が整わないことも少なくありません。
病気はあるとき症状が出て峠を越えて治っていくのが普通です。この時に医療の支えが必要なことがあります。しかし、重い病気の場合は、最善の医療でも治すことができません。このような場合には、経過が急速な場合もありますが、治療で全身状態が比較的安定した状態から、悪化の一途をたどる時期を経て、最終段階を迎えることになります。
「私のリビングウィル」は、この最終段階になってしまったときに、あなたが望まない延命処置を、あらかじめ自分自身で選んで記録しておくものです。仮にあなたの意思が表明できなくなっても、ご本人の望まない医療行為を、私たちが実施してしまうことを避けることができます。
- 心肺停止時における蘇生術の拒否の表明(繰り返し修正可能)
-
最善の医療を行っても、有効な治療法が残されておらず、症状の悪化自体を止めることができない状態では、早晩心肺停止あるいは呼吸停止(心肺停止)をきたすことが予想されます。その際に心臓マッサージ、人工呼吸、あるいは心肺蘇生のための薬剤投与をする心肺蘇生処置は、成功が難しく、また成功できても患者様のからだを傷付けたり苦痛を長引かせたりするだけであり、すでに苦しんでこられた患者様のためになることはありません。
苦痛を和らげる緩和治療は今後も努めますが、心肺停止をきたした際には、心肺蘇生処置を避けることに希望を明らかにしておくことが大切です。